外に出された姿を眺めて思った。「エンジンが収まったらケツ上りが直って、かっこいいなぁ。でも、タイヤは?グリコのおまけみたい!」
子どもの頃にグリコのキャラメルを買うと、箱の上部には小さな車や動物などのおまけが入っていた。自動車は、小さいのにとても良く出来ていて、ボデーなどはトヨタだ、外車だと、すぐ判断できるぐらいに良い出来なのに、タイヤが異常に小さくて変に見えた。まさに今のマックイーンポルシェが、そんな感じ。
前オーナーが、僕がやめろと言うのを聞かず、当時流行った60偏平のタイヤを無理矢理はかせたのだ。本来は82偏平もしくは70偏平なのだ。上級モデルのEとかSは偏平タイヤを当時からはく為に、ホイールは15”だが、このマックイーンポルシェの正体は Tなので14”。だからハイトの高いタイヤを必要とする。これ又、出費だね!
でもね、ホイールの話をしようか?これ優れものなのですよ。現在でも自動車のアルミホイールはたいていは、型に溶かしたアルミを流し込んで造る、鋳造(ちゅうぞう)製。しかしですね、今から50年も前に911は 何と鍛造(たんぞう)製なんですよ。鍛造というのは日本刀と同じ、叩いて叩いて、中の鬆(す:鋳物の内部にできた空洞部分)を抜くのです。いわゆる「かき餅」が鋳造で、「モチ」が鍛造です。
鍛造は中に鬆(す:鋳物の内部にできた空洞部分)が無く、薄く出来る。だから軽くて強いのです。超高速で24時間のレースを走りきる危険きわまりないルマンでのレースの為には、強くて軽いホイールを必要としたのです。
すごいでしょう、ポルシェは。こんな技術を市販車に装着してしまうのだから。